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コラム

第二十五回「自分チューニングのススメ」

極!石田塾

2021.05.22

3月21日に2度目の緊急事態宣言が解除され、ほっと一息ついたと思ったら約1ヶ月ほどで東京・大阪等4都府県で緊急事態宣言が再々度発令。愛知と福岡も追加されて、5月31日まで延長されることになりました。おかげさまで6月6日に福島・いわき市で予定されていたサウンドミートin東日本も10月3日に延期が決定。久しぶりにカーオーディオ好きの皆さんとお会いできると思っていたので、とても残念です。

とはいえ、今の新型コロナウイルスの感染状況やイギリス株、インド株といった変異種の拡大を考えると妥当な判断かと思います。予定では7月頃には一般へのワクチン摂取がスタートするとされているし、10月になればある程度、摂取済みの人も増えているでしょうから(あくまでも予定ですが)今よりは集まっても大丈夫な状況かと思います。政府が言っているような口先だけの安心・安全ではなく、心から安心・安全だと思える状態に早く戻るといいですね。

こんなご時世だから、家にこもってひたすらコロナ禍の収束を待っている人も多いことでしょう。僕もそう。以前、新型コロナウイルスの後遺症のひとつとして聴覚障害が取り上げられているのを見たことがあって、その話を聞いた後に怖くなり、人との接触をできるかぎり避けるようになりました。とにかく必要以上に外へは出ない、外出したときはマスクは必須、人との距離はできる限り2m以上を保つ、何かに触ったら必ず手指消毒…etc.できる限りの感染防止には気をつかっているつもりです。おかげで取材にも出られず、ひたすら家にこもっているんですが(笑)。

しかし、ただたんに引きこもっているわけにはいきません。家にいる時間が長い時だからこそ、オーディオ好きにとってはオーディオのチューニングに取り組むチャンスでもあります。とくにカーオーディオなら人と接触せずにひたすらチューニングに没頭できますから、大きなレベルアップを果たすことができる可能性もあるわけです。

今、ハイエンド・カーオーディオはDSPを使ってデジタル・チューニングを行うのが主流です。カーナビでもカロッツェリアやケンウッド、クラリオン、ダイヤトーンなど多くのモデルにはDSPを内蔵しタイムアライメントやクロスオーバー、イコライザーのチューニングができるようになっているし、オーディソンやヘリックス&ブラックスなどの単体DSPを使っていても同様のチューニングが可能です。

まあ、コルトレーンのようなカーオーディオ専門店でインストールしている人であれば、納車時にきちんとチューニングしているので、なにもしなくても良い音で音楽が楽しめると思います。またD.I.Y.でコツコツとカーオーディオをインストールしている人も、以前僕が書いた「サウンドチューニングマスター」というムック本を参考にしてもらえれば、ある程度まともな音にチューニングできると思います。

ただし、それはあくまでも世間一般の良い音という話。音に関しては個人の好みがあるので、たとえ良い音だとしても好みの音とは限らないわけです。だから、好みの音に近づけるようにしませんか? というのが今回のお話。コロナ禍の自粛続きで時間はたっぷりあるわけですから、その時間を利用して自分好みの音にカスタマイズすれば、より音楽を楽しく聴けると思うのです。

自分好みの音にチューニングするには、まずどうすれば良いか。ここではお店などで基本的なセッティングがすでにできている状態を前提にお話します。堀田さんが念入りにチューニングした音を「好みじゃない」と変えてしまう人もそれほど多くはないと思いますが(笑)、自分でいじる前に最初のセッティングをきちんとメモしておくことはとても重要です。デジタル・チューニングであれば、もし下手にいじって取り返しのない音になってしまったとしても、数値さえ元に戻せば元の音が蘇るからです。便利ですね。

なぜ、これを真っ先にいうかというと、いじりすぎて音が変になってしまうケースがあまりに多いから。使い慣れていない人がいじってみると、往々にして起こり得るケースです。メモリーがあるからいじっても構わないと思っていても、いじっているうちについつい途中でメモリーしてしまい、元の数値がわからなくなってしまうケースも多々あるので、とにかく最初の状態をメモするなり写真に撮っておくなり、記録しておくことは重要です。

クロスオーバーやタイムアライメントの数値は基本ができていれば触ることはないと思います。好みの音に近づけるためにいじりたくなるのは、たいがいがイコライザーでしょう。ここで注意したいのは、あまりに大きくいじりすぎないこと。上げ下げしたとしても元の数値から3dB程度上げ下げするのが限界。1〜2dBほど上げ下げしただけでも音が大きく変わることが多いものです。

よく失敗しがちなのが、調子に乗ってすべてを限界まで上げてしまうこと。音が歪み気味で「これは…」とイコライザーを見てみると、すべての周波数がマックスまで上がっていたというケースを何度みたことか…。僕も子どもの頃は、ステレオのバスとトレブルをめいっぱい上げて聴いていたこともあったので、人のことはいえませんがね(笑)。

たしかにレベルを上げていくと音に勢いが出てくるのでついつい上げたくなる気持ちはわかります。が、重要なのはバランス。すべての周波数を上げるということは、音量を上げるのと同じことなので、音は大きくなれども良くなることはありません。どちらかといえば、足りない音を上げる方向よりは気になる音を下げる方向でチューニングしたほうがうまくいくケースが多いと思います。

基音をしっかりと出すことも重要です。たとえばボーカルが細くて弱々しい時。女性ボーカルは1kHzあたりが中心の周波数と言われていますが、その帯域だけいじっても声の細さは変わらずに細い声だけが大きくなるので、よけいに聴きづらくなってしまう場合もあるのです。そんな時は1オクターブ下の400〜600Hzあたりをいじってみるのも手。このあたりが女性ボーカルの基音になるはずです。

また倍音の2kHzあたりをいじってみると声の艶が変わってくることもあるので、400Hzから2kHzあたりを順番にいじってみて、もっとも効果が大きいポイントを探るのも重要です。このとき注意したいのは、ひとつの周波数を上げ下げしたら、必ず元に戻した後に次の周波数をいじるということ。元に戻さずに変えていくとどの周波数の上げ下げが効果的だったのかわからなくなるので、必ず戻して最終的に判断するのが良いでしょう。

あと、低音でも量感たっぷりなのが好みの人もいればタイトな低音が好きな人もいるでしょう。僕はタイトな低音が好きなので、30Hz以下をバッサリと切るチューニングをしています。逆に量感のある低音が好みの人はこのあたりが重要なので、30Hzあたりを上げ気味にしている人もいるでしょう。

一部分のチューニングだけを取り上げましたが、基本的には基音をしっかりと出すことを心がければ大丈夫だし、女性ボーカルだけではなくその他の楽器類にも通用します。各楽器の周波数帯域は、インターネットで調べれば出てくると思います。

あとは、スマホなどにRTAを測定できるアプリを入れておいて時々チェックすることを心がければ、大きな破綻は起きないと思います。以前はエタニがスマホのRTA測定アプリを出していたのですが、今は無くなったみたいなんですよね。残念です。ただし、持っている人は今でも使えるし、いろいろとRTA測定アプリは出ているようなので、探してみてください。

音楽好き&オーディオ好きなら、お店でチューニングした音をベースに自分で手を加えてカスタマイズしてみて、より自分好みの音に近づけるのも良いかと思います。家にいる時間が長い今のタイミングなら、じっくりとチューニングして、よりレベルアップすることもできると思いますよ。

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