第53回 「書籍「音」の秘密~原理と音楽・音響システム について」
極!石田塾
2024.04.09
無事に手術が終わり、退院してきましたよ。なるべく入院日数を短くしたかったので、入院した日に即手術。当初は「なにも問題なければ2〜3日で退院できますから」と言っていたものの、思ったよりも範囲が広かったようで、手術にかかった時間は3時間以上。局所麻酔だったので、たまにピリッと痛みがきて「痛っ」と声を出すと麻酔を追加して一時休むということを繰り返し、なんとか終わったわけです。
切った範囲が広かったせいか、2日目でも出血は落ち着かず。3日目になってようやく落ち着いてきたものの、前日60ccほどあった出血が半減したらドレーンを取って翌日退院と言っていたのに40ccの出血があったものだから10ccオーバーで持ち越し。翌日はほぼ出血もなく「これならドレーンを取れるね」と期待していたものの、あいにくの土曜日でいつもの先生の代わりに学生のような若造の医者しかおらず「もう1日待ちましょう」というのでカチンときて(笑)明確な判断基準があるなら取ってもいいじゃないかと文句をいった結果、翌日の5日目にドレーンが取れて翌日退院となったわけです。結局、病院にいたのは1週間。いやー、長かった。
というぐあいにドタバタしていましたが、しっかり仕事もしていましたよ(笑)。入院前に受けたのが、創元社という出版社から4月16日に発売された『「音」の秘密~原理と音楽・音響システム』という書籍のお手伝い。著者はスティーヴ・マーシャル氏、訳者は山崎正治氏で、著者も訳者もしっかりいらっしゃるんですが、音響部分の訳にイマイチ自信がないので最終確認してくれと言うので、僕にお役が回ってきたわけです。
急なお願いだったのでできるかどうか原稿をメールしてもらったとこと、前半部分は僕が書いたサウンドチューニングマスターとそっくり(笑)。音とはなにかに始まり、波形、音速など、音についての基本知識がわかりやすく解説されていきます。後半はマイク、録音、エフェクター、ミキシング・マスタリングなど、サウンドチューニングマスターでは触れていない項目も解説されていますが、これくらいなら大丈夫というわけで仕事を受けたわけです。
しかし、今は原稿のやりとりから修正まですべてメールで済むから楽ですね。以前だったら郵便で送って数日のタイムラグがあり届いて、そこから読んで赤字で修正を入れ、また郵便で返送だったから、そこで最低でも3日はロスしていたわけです。今回は友人の依頼だったわけですが、まず試しにメールしてもらって、仕事を受けて校正を返すまでに3日ですもの(笑)。しかも、その間に友人と電話で話すことも一切なし。2〜3回のメールのやりとりだけで終わり、無事に本が出たわけです。
流石にプロの訳者の仕事なのでとても読みやすい文章に仕上がっていましたが、大きなミスを発見しました。それはstanding waveの訳。楽器の解説の部分では定常波で間違いないんですが、後半の音響部分でstanding waveといえば定在波のこと。そもそも、ひとつの英語に対して日本語訳が2種類あるというのも変なんですが、音響部分のstanding waveはすべて定在波に直すということで決着。他にも細かい修正をして校了となったわけです。
著者のスティーヴ・マーシャル氏はイギリスBBCの音響効果ユニットで働きながら、数多くのテレビ・映画の音楽を作曲・録音してきたマルチなミュージシャンで、このような本の著者としてはぴったり。少々、字が小さいので老眼には見えづらい(笑)ですが、音について学習するのに役立ちます。
創元社とはあまり耳にしない出版社かもしれませんが、主に心理学や歴史学の書籍を出版している大阪の老舗出版社で、デレク・ジャーマンの庭とか、興味を引く書籍を数多く出版しています。世界で一番美しい元素図鑑も素晴らしい本でしたね。あと、この音の秘密と同じシリーズのアルケミスト双書では、未確認飛行物体という本で、少しだけお手伝いしました(笑)。
この『「音」の秘密~原理と音楽・音響システム』は58ページで1,320円(税込)。Amazonでも入手可能なので、興味のある人は読んでみてください。