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コラム

第二十七回「ALPINE F#1Statusレポート」

極!石田塾

2021.07.13

前回のダイヤトーン・スピーカーに続き、今月も注目の新製品が発表されたので紹介しておきます。アルパインがF#1Statusの新製品を発表しました! 前モデルが確か2004年の発表のはずだから、17年ぶりのリニューアルです。

型番を見ると7909とかH900とか、かつての名機を彷彿とさせるネーミングがされていて、そこからもアルパインの本気が伝わってきます。ヘッドユニットのデザインも、四角い大型のボタンだ上下に3個ずつ並んでいてJuba7909を思い出させるもの。ボタンの配置が左右逆とはいえ、良い音への期待が膨らみます。

そのニューF#1Statusは384kHz/32bitのハイレゾ再生を実現したのが大きなトピックです。現在、カーオーディオで主流のハイレゾ再生は96kHz/24bitが一般的。ハイスペックなものでも192kHz/24bitです。この192kHz/24bitでもCDと比べると約6.5倍のデータ伝送量を持ち十分に高音質なんですが、今レコーディング現場では384kHz/32bitが採用され始めています。まだまだ導入しているスタジオは多くはありませんが、実際に32bit音源はある(なぜかアニソンに96kHz/32bit音源が多いw)し、いずれは普通に32bit音源が売られることでしょう。それをダウンコンバートすることなく聴けるのだから、スペック的に良い音がすることは確実でしょう。

ちなみに384kHz/32bitの音源はCDの17.4倍という圧倒的なデータ転送量。これをダウンコンバートすることなくネイティブで再生できるということは、元の音源の波形により忠実で質の良いアナログサウンドに近いスムースな音楽再生ができるというわけです。

クルマの中で、この高解像度な音楽再生をスムースに行うために、パーフェクトシンクロという技術も導入しています。従来、カーオーディオではヘッドユニットとオーディオ・プロセッサーのそれぞれがクロックを持っていて、それぞれのタイミングで信号を処理していました。これが原因で発生するのがジッター。簡単にいうとデジタル信号のズレで、これが音を汚す元になっていたんです。

それを解消するために開発したのがマスタークロック・マネジメントシステム。OCXO DuCULoNという世界最高の精度を持つ水晶発信器を採用してヘッドユニットとオーディオ・プロセッサー間をひとつのクロックで完全にシンクロさせているため、ジッターの発生を抑えているわけです。

また、この高精度クロックは、D/A変換用のクロックとしても直接供給しています。D/AコンバーターはES9038PROを採用。384kHz/32bit再生には欠かせないチップですね。このような構成でジッターに起因する音質劣化を最小限に抑え、ハイレゾのポテンシャルを最大限に引き出しているわけです。

さらに正確なサウンドチューニングを実現するためのDSP。ここには最大1GHz/64bitのDSPを4基搭載しています。この処理能力はパソコンのCPUと同等。だからタイムアライメント(アルパイン的にはタイムコレクション)の刻みは約0.9mmステップで調整可能。従来は7.2mmステップだったからよりきめ細かく、着座位置に合わせた音の到達タイミングの調整ができるのです。これまではもう少し遅らせたいけど1ステップ変えると遅れすぎという微妙な調整が不可能で、そこが残念と思っていた人もいたでしょうが0.9mmステップなら解消しそうですね。

スピーカーも新たに開発しています。サブウーファー、ウーファー、ミッドレンジ、ツィーターの4ウェイを用意しているのですが、ポイントはすべてのユニットの振動板を同じ素材で統一していること。なんだかソニックデザインっぽいウリ文句ですが(笑)同じ素材を使っているということは音色もシンクロするということ。磁気回路はDDドライブやDDリニア、デュアル・エミッションを帯域別に使い分けて、それぞれのユニット間の低歪化を図っています。

このように、内容を見ると「どんな音がするんだろう」とワクワクしてくる新アルパインF#1Statusですが、残念なお知らせがあります。今のところ、国内に4店舗しかないアルパインスタイルでしか受注しないんです。つまりインストールや調整を堀田さんにお願いしたいと思ってコルトレーンにお願いしても、残念ながら買えないんです。

しかも基本的にはF#1Statusを搭載したフルコンプリートカーを受注生産して販売するという仕組み。ベース車両はトヨタのアルファード・エグゼクティブラウンジSで、フロントドアや後席スライドドアへのデッドニング、後席・トランク床部の制振、天井の制振と吸音、タイヤハウス裏側の制振などを施しています。おそらくメーカーが綿密に調査したうえで適切な作業を行うんでしょうから、音の良さは保証できそうです。

価格はF#1Status一式が250万円で、そのほかにインストール費用が150万円。車両は800万円ほどしますから、フルコンプリートカーは1200万円になりそうです。もちろん、他のクルマへのインストールも行うとのことですが、受注するのはアルパインスタイルのみ。このあたりは、取扱店舗を増やしてもっと自由度を高めて欲しいものです。

たとえば、パワーアンプを他のメーカーに変えたらどんな音になるんだろう、とか輸入物のスピーカーを使ったら音がどう変わるんだろうとか。全国のプロショップに頼めば、それぞれ個性的な音を創り出してくれると思うんですけどね。

あとソースユニットがDAPなんですが、これがどうもA&Kっぽい(笑)。どうせならアルパイン・オリジナルのユニットを作って欲しかった気がします。DAPなんかじゃなく、もっと車載に適した形でね。そこが、どうにも残念な部分です。

いずれにしても、当面はアルパインスタイルでしか入手できない新F#1Status。発売は2021年秋の予定で7月には受付開始するそうなので、お金があり余っている人なら、ぜひオーダーして、それをコルトレーンなり馴染みのプロショップに持ち込んで独自のチューニングやアンプ&スピーカー交換をお願いするという手はありそうですね。

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