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コラム

第61回 待望のパイオニアハイエンドスピーカー「TS-Z1GR」レビュー

極!石田塾

2025.06.07

GW明けの5月7日に天童へ行って試聴したものの、発表は6月なのでそれまでは内緒ねと釘を刺され、早く皆さんにお知らせしたくて、この1ヶ月間悶々としていました(笑)。パイオニアの新しいフラッグシップ・スピーカー、GR(グランド・レゾリューション)です。これ、すごくいい!

なにがいいかって、音の良いレコーディングスタジオのモニターで聴くような音が試聴室で再現されているんです。もちろん僕はプロのレコーディングエンジニアでもなんでもないので、そんなに数多くのレコーディングスタジオを経験したわけではありませんが、それでも古くはソニーの一口坂スタジオやビクターの青山スタジオ、オンキョーハウス、そしてパワーハウススタジオやらアバコスタジオなど、何ヶ所かの音は体験してきました。そのようなプロの現場で聴くような生の音と変わらない生々しい正確な音が聴こえてくるんです。これにはビックリしました。いや、値段もすごくてビックリなんですけどね(笑)。

その値段の高さにも理由があります。GRスピーカーのキモのひとつが7.3cmCSTドライバーなんですが、中心のツィーターの振動板にはベリリウムを採用しています。しかも伸延法でベリリウムの板を伸ばして成形するのではなく、パイオニアが30年以上の実績を持っている蒸着法で作られています。ベリリウムを真空でプラズマ化して蒸発させ振動板に成形する方法で、もともと金属では考えられないほどの内部損失を持つベリリウム振動板ですが、蒸着法により際立ってスムースな周波数レスポンスを実現し、素直で澄んだ高音を再生できるんです。

これだけでも十分に価値があるんですが、17cmウーファーも凝った作りです。例えばキャップ部の形状。これは車載状態を考えミッドレンジ&ツィーターとのクロスオーバー付近の指向特性をスムースにするため単一Rではなくカテナリー形状にしているんです。同様に胴体のRについてもコンピュータ解析を進めてハイレンジとの自然なつながりを追求。このおかげで中低域についても澄んだ音の再生を可能にしているわけです。

振動板はVシリーズと同様の開繊カーボンクロス。カーボンが硬さと軽さを併せ持つ上に開繊糸を使用することで樹脂の含浸量を減らすことができるため、硬さと軽さという特徴を最大限に活かすことができるんです。そこに抄紙など異素材の裏層を加えて、優れた剛性を持ちつつ適度な内部損失をプラスした振動板が出来上がったんです。

さらに小音量から大音量まで生き生きとした低音再生ができるようにしました。それには駆動力とサスペンションの平坦化が重要で、そのためにロングプレート/ショートボイスの採用からして高いリニアリティと低歪み化を図ったり、磁気回路の鉄材の選定や焼きなまし処理などに至るまで検討して磁気歪みの低減にトライするなど、さまざまな角度からリニアリティの向上と低歪み化にアプローチしているんです。

このスピーカーが意識しているのはイートンやモレル、ブラムといった世界に名だたるスピーカーブランドのフラッグシップモデル。すべて各年のオートサウンドグランプリを受賞した名品ですね。これらを凌駕するためにパイオニアが考えたのは、パイオニアが持つ技術力を結晶してパイオニアにしかできない世界観を作り出すことです。

そのために点音源再生による優れた定位コントロールと指向特性を持つCSTドライバーを核とし、アーティストやレコーディングエンジニアの想いをありのままに伝えることを目指している作ったのが、このGRスピーカーなんです。だからブランド名も車載用のカロッツェリアではなく「Pioneer」。次世代の「音のパイオニア」と創り上げるべくクルマとか再生機器といった概念を取っ払って、ひたすら音楽の世界に引き込むことを考えて作ったスピーカーなんです。

いただいた資料を見ると、空間と時間の一致が誘う異次元の音楽体験を実現する7つの重要要素として1.明確な音楽燎原力、2.音の定位安定性、3.立体的な音場再生、4.低音から高音まで音域バランスの良さ、5.小音量から大音量まで違和感のないスムースな再生、6.レスポンスの良いスピード感のある音、7.弦楽器、管楽器、人の声など音色の如何を問わず歪曲されずに再生と書いてあります。が、いくら書いたところで、その音は伝わりません。まずは聴いてみること。一発で感動すること間違いなしです。ただし、欲しい!と思っても買えるかどうかは保証しませんが(笑)。価格は7.3cmCSTドライバー+17cmウーファーがセットの2ユニット・3ウェイシステム、TS-Z1GRが770,000円(税込・ネットワーク付属)、CSTドライバーと2ウェイネットワークのみのハイレンジ、TS-HX1GRが495,000円(税込)です。

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