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コラム

第四回 「OTOTENレポート」

極!石田塾

2019.07.02

6月29日、30日に東京国際フォーラムで行われたOTOTEN。

オーディオとホームシアターのメーカーが集まる国内最大級の祭典ですが、入り口近くにはカーオーディオ体験コーナーも用意され、各社のデモカーが展示されています。今回は、ここに絞って最新のカーオーディオ事情をお伝えします。
ガラス棟に入ってエスカレーターを降りると、すぐにカーオーディオ体験コーナーが待ち構えています。今年は、アルパイン、JBL、ケンウッド、ダイヤトーン(三菱電機)の4社。ダイヤトーンだけは2台のデモカーを持ち込んでいたので計5台です。昨年はパイオニアのデモカーがあったし、一昨年はエタニも出展していたので、年々寂しくなっているのは、まあしょうがないというか…。
気を取り直してデモカー試聴の列に並びます。

まずは一番手前のアルパインから。

このクルマはアルファード専用の大画面ナビ、ビッグXとリフトアップ・ツィーターが付いていました。オートサロンで参考出品されていたこのツィーターがすでに市販されていたとは、この時初めて知ったのですが(笑)、このクルマ、けっこうインパクトがありました。
システム的にはビッグXにスピーカーを入れ替え、パワードサブウーファーを加えただけ。そこらの量販店でも、簡単に付けられそうなシステムです。しかも、実はこのクルマは借り物だそうで、イベントが終わったらすべて外して元に戻さなければいけないということ。なので、フロントドアのウーファーの裏に拡散材を貼った程度で、デッドニングも行なっていません。それなのに、この音。ツィーターの音が力強く、全体的に生き生きとしていて弾むような音がリスナーを包みます。
ダイヤトーン・サウンド・ナビの登場以降、各社ともヘッドユニットとしてのカーナビの実力は大きく上がっていると感じていますが、ハイレゾを再生できないなど、設計自体は古いもののアルパインも相当な実力を備えているようです。この日も、ストリーミングでMP3をワイヤレス再生していたのですが、音源のクオリティに関わらず、楽しい音を聴かせてくれました。

それに比べると、その隣のJBLはちょっと残念な音でした。

なんか全体的に音がこもったような通りの悪い音。STUDIUM GTO600Cというセパレート2ウェイ・システムにミッドレンジのGTO20Mを加え3ウェイ化したシステムをフロントにインストールし、ラゲッジルームにはパワードサブウーファーのBassPro Microを置いたクルマでしたが、ちょっとがっかりな音でした。 理由ははっきりとは不明ですが、おそらくデッドニングのやりすぎでしょう。デッドニングをやりすぎて音がヌケないのはよくある話ですから。このあたりは、お店の経験とノウハウ次第。コルトレーンなら、そんな心配はないと思われます。おそらく。 ただ、この3ウェイシステムのシステマティックな作りには関心しました。2ウェイ・システムの付属ネットワークにミッドレンジを追加するための端子が付いていて、ここにミッドレンジのネットワークを配線すれば簡単に3ウェイ化できるんです。これならネットワークを無駄に捨てることなく3ウェイ化できますね。 しかも音のつながりも良好。これはデモカーでも確認できました。これをコルトレーンのような信頼できるお店で取り付けたら、きっと素晴らしい音に変化するでしょう。ということを考えると、つくづく残念としか言いようがありません。

次はケンウッド。

彩速ナビ・タイプMを中心に、カスタムフィットスピーカーのKFC-XS1703やパワードサブウーファーのKSC-SW30を加えたシステムです。外部パワーアンプのXH401-4も使っています。今回はパワーアンプを使ったシステムの音だけでデモしていましたが、実は内蔵アンプに切り替えることも簡単にできて、サブウーファーももっと大きなKSC-SW40に切り替えることができるように作られています。そのあたりは、近くで試聴会などをやっていたら確かめてもらいたいと思います。
JVCケンウッドは、自身で音源制作もやっているメーカーなので、その強みを生かしたデモを行っていました。オーディオの音源はもちろんハイレゾ。映像もオリジナルの映像+音です。
このクルマを聴くと、やはりハイレゾは良いなと実感できます。彩速ナビがハイレゾのポテンシャルを引き出している証拠でしょう。ハイレゾ音源を聴く限り、ダイヤトーンとも遜色ない良い音です。スピーカーも含めて、コストパフォーマンスを考えたら最強のシステムと言えるでしょう。
ちなみにアンプを内蔵に切り替えた音も確認してみました。リーズナブルなアンプとはいえ外部アンプの効果はけっこうあって、内蔵アンプに切り替えたとたんに音が細いというか痩せたというか、細身の音になってしまいました。たぶん最初に内蔵アンプの音を聴いたあとに外部アンプに切り替えれば、やはり外部アンプは必要だなという印象が最後に残ったんでしょうが、先に外部アンプを聴くと「やはり内蔵アンプはしょぼい」という印象になってしまいました(笑)。逆にいうと、外部アンプの効果が如実に現れたわけで、システムアップも効果ありとも言えるでしょう。

最後はダイヤトーン。

このプリウスとメルセデス・ベンツAクラスの組み合わせは大阪オートメッセを始めいろんなイベントや試聴会にも出没しているので、すでに聴いたことがある人も多いと思います。
 プリウスは、カーナビをダイヤトーンに替えただけでスピーカーは純正そのままのクルマ。AクラスはスピーカーをDS-SA1000に替え、ラゲッジルームにはSW-G50をインストールし、2台のブラックス・アンプで鳴らすハイエンドなクルマです。 音はもちろんAクラスのほうが良いのですが、聴いて驚くのはむしろプリウスのほうでしょう。なにしろ純正スピーカーのままでもカーナビをダイヤトーン・サウンド・ナビに替えただけで、これだけ音が良くなるんですから。さすがに解像度なんかはスピーカーのポテンシャルがものをいうので普通ですが、レスポンスが自然で周波数特性も整ったサウンドは音楽を聴いていて心地よいものです。ダイヤトーン・サウンド・ナビが持つポテンシャルの高さときめ細かい調整能力の凄さでしょう。もちろん、的確な調整ができてこそのサウンドですが、パイオニア・カーサウンド・コンテストを始め数々の上位入賞歴があるコルトレーンなら、おまかせして大丈夫かと思います。

そしてAクラス。他のデモカーの音とは明らかに次元が違います。音が生々しく、眼を瞑れば実際に目の前にミュージシャンがいるんじゃないかと錯覚してしまうほど。運転中に眼を瞑っちゃ事故りますけどね(笑)。音の立ち上がりの速さといい、音色といい、それだけリアリティを感じる音です。

今回の4台は、1台を除きハイエンドというよりは、初心者?中級者向けのシステムでしたが、タイムアライメントを始めとしたデジタル制御をうまく使い、試聴した運転席では気持ちのいい音場再生を行っていました。数年前はカーオーディオをグレードアップするとなると、10万円以上のヘッドユニットに20万円以上のアンプやスピーカーが最低限必要で、それに取り付け費用を加えると100万円を超えることもザラでしたが、今は内蔵アンプの能力も高まっていて10万円程度の外部アンプを加えるくらいなら内蔵アンプでも十分なケースもあるし、もちろん高いスピーカーはそれなりの良さがありますが10万円以内のスピーカーでも十分な実力を持ったモデルが多々あります。という意味では、以前よりもカーオーディオをグレードアップしやすくなっていると言えるでしょう。
しかもデジタル調整技術が進化しているので、調整次第で純正スピーカーのままでも心地よい音が楽しめることが確認できました。予算に応じて、さまざまなシステムに対応できるという意味では、数年前に比べてカーオーディオのグレードアップが手軽になっていると感じます。
一方で、クルマ自体、カーオーディオの交換が難しくなっているのは事実ですが、それでもヘッドユニットは純正のままでDSPを追加するなど、やりようはいくらでもあります。一人で悩んだり諦めたりしないで、まずは気軽にお店に相談してみるのが、心地よい音を手に入れる手っ取り早い手段かもしれません。

■参考URL
https://www.jas-audio.or.jp/audiofair/
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