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コラム

第二十九回「オーディオ電源のチューニング」

極!石田塾

2021.09.19

非常事態宣言が延長され、まだまだ新型コロナウィルス感染症による自粛が続いていますが、そのおかげもあってかカー用に止まらずホームオーディオ用でも電源に関するアイテムへの注目が集まっているようです。

たとえば車載用のボディアース強化ボックスが人気を集めている青森のメーカー、光城精工。ここが出しているホーム用の仮想アースユニット、Crystal Eは作るそばから売れるほどのバックオーダーを抱えていて、最新情報では11月出荷分も完売してしまったとか。とくに海外からのオーダーが多くて、うれしい悲鳴を上げています。

このCrystal Eの車載仕様が車載用ボディアース強化ボックス。小さなボディの中にプレート状の導体を折り畳んで積層していて、そのサイズはなんと畳1畳分。こうして大きな表面積を追加することで内部抵抗を0Ωに近づけて、ノイズを減らすことができるわけです。

僕も以前、ボディアース強化ボックスの初期モデル、VE-01を借りて試してみたことがありますが、その効き目の大きいこと。全体的に音がクリアになって晴れ晴れするし、音圧も上がった感じ。音像も明確になるしマイナス点は一つもなくただただプラス面だけが出てきます。こりゃ、人気が出るのも当然ですよね。

僕はヘッドユニットにつないで試してみたんですが、本体の表面積が小さいものほど効果が大きいようで、外部パワーアンプのような図体のデカいものの場合は2個連結する手もありそうです。いずれにせよ、今はよりグレードアップしたVE-02が出ているし、電源フィルターも加えたNve-03や電源フィルターのみのN-04もあります。

最近のクルマ、とくにハイブリッド車やEV車は電子制御にデジタル化が進んでいて、車内は高周波ノイズで溢れかえっているため、高周波ノイズを低減する電源フィルターは効果があるでしょうね。

なんだか光城精工の宣伝みたいになってしまいましたが(笑)、電源部をカスタマイズする方法は他にもあります。僕は以前、バッテリーのマイナスをボディにつなぎ、そこからさらに短いケーブルを何本も使ってラゲッジルームの近くにあるアンプのそばまで伸ばしていました。こうすることで電気の流れをよりスムースにしてあげようという考えです。

コルトレーンでもコンティヌオというアースケーブルを出していますよね。これもものすごくよく効きます。狙いは電気の通りをよくしてあげようということ。プラス側はバッ直(バッテリー直結)で直接電源を引くことができますが、それだけではダメでマイナス側も強化して初めて電気がスムースに流れるようになるわけです。

ご存知のように、クルマの電装品はカーオーディオを含めすべてボディからマイナス極をとっています。普通は細いケーブルでバッテリーのマイナス極とボディがつながっていますが、オーディオ機器用にバッ直で太いケーブルを引いたとしたら、バッテリーのマイナス極からボディにつながるケーブルも太くしないとボトルネックが生じます。

ボトルネックが生じると電気がスムースに流れないため電位差が生まれてしまいます。これがノイズが増える原因。このボトルネックを無くしてスムースに電気が流れるようにすることでオーディオ機器の能力をフルに発揮できてクオリティが高まるわけです。僕が短いケーブルを何本も使ってラゲッジルームのパワーアンプの近くまでマイナス極のアースケーブルを引っ張ってきたのも、パワーアンプの電気の流れをスムースにして、能力をできるだけ引き出してやろうという考えからです。

もう一度、光城精工のアイテムに戻ります。VE-01や02のようなアース強化ボックスは、大きい表面積をとることで高周波に対するインピーダンスを低くしてノイズレベルを下げてやろうという狙い。ハイブリッド車やEV車に限らず従来のエンジン車でもインバーターやスイッチング電源など膨大な数のノイズ発生源が組み込まれているので、ノイズ対策はオーディオのクオリティ向上に大きな効果があるのです。

ヘッドユニットやパワーアンプ、スピーカーなどの機器をグレードアップして良い音を狙うのは当然ですが、それ以前にそれぞれの機器の性能をフルに発揮してあげることが重要。そのためには電源強化が必須です。

たとえばバッテリーを新品に替えたりフル充電してやるだけでもオーディオのクオリティは激変します。場合によってはもう一度調整し直さなければならないほど音が変わることもあります。それほど電源は重要なんです。嘘だと思ったら、試しにバッテリーをフル充電した後で聴き直してみてください。

だから室内で安定化電源を使って試聴を行うときは、通常の12Vよりも高めの14Vあたりに電圧を設定して聴かせているケースも多いのですが、高い電圧をスムースに流すことはクオリティ向上に直結します。

このように機器にクリーンな電源をボトルネック無しにスムースに流してやることが重要。機器をグレードアップするよりはリーズナブルにサウンドを向上できるし、ものすごく大きな効果が得られるケースも多いので、サウンド向上を狙っている人ならぜひ試してみてください。

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