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コラム

第三十六回「パイオニアのNEWアイテム、ナビ?ドラレコ? ”NP1”の実力」

極!石田塾

2022.05.22

マイカーのオーディオについての話が2回にわたって続いたので、今回はちょっとオーディオから離れて、パイオニアNP1の話をしていきましょう。

このモデル、そもそもカーナビなの? ドラレコなの? と思っている人も多いと思います。ぱっと見はちょっと大きめのドラレコ。前後にカメラが付いていて、前方と車内&後方の映像を記録できます。それだけではなく、音声で道案内もしてくれるんですね。さらにdocomo in Car Connectの通信機能を持っているのでWi-Fiスポットにもなるし、近くの情報を教えてくれたり、車外のスマホとNP1の映像を共有したりもできます。だから、カーナビとかドラレコといった枠には収まらない、ドライビングパートナーという新しいカテゴリーの商品なんです。

使用頻度からいうと圧倒的にカーナビとしての用途が多いと思うので、まずカーナビ部分の紹介から。音声だけで案内するというので、乗ってみる前は「大丈夫?」と半信半疑でしたが、実際に使ってみるとまったく問題ありませんでした。とにかくよく喋る(笑)。しかも、従来のカーナビとは言葉使いが違っていて、分かりやすいんですね。たとえば曲がるポイントを案内するとき、従来ナビなら「300m先の信号を右方向です」という具合に、距離で案内しますが、NP1は「2つ先の信号を右方向です」と、信号の個数で案内します。走っている最中に距離なんて測れませんが信号の個数なら一瞬で把握できます。これが分かりやすさにつながっているのでしょう。

また曲がった後に「右側の車線がお勧めです」という具合に、推奨の車線も提示してくれます。従来のカーナビでも、画面上で推奨車線の色を変えたりして提示しているモデルがありますが、画面をいちいち見る人はほとんどいないと思います。ましてや、画面上の車線案内は小さいのでじっくり見ないといけません。その点、音声なら視線を動かさずに音で分かるので分かりやすいですよね。これ、従来のカーナビにも採用してもらいたい案内です。

目的地検索やルート探索はクラウドで行います。つまり、サイバーナビのスーパールート探索と同じ。クラウドの強力なコンピュータで行うため、渋滞を回避した賢いルートを探索します。といっても「時間がかかるんじゃないの?」と心配になる人もいるでしょう。エアーナビなど、かつてのモデルと違って検索もルート探索もスムースで「NP1、○○へ行きたい」というと数秒の間に「○○がみつかりました。○○へ行きますか?」と聞き返します。画面上で文字を入力するよりも、よっぽど速くスムースです。

ドラレコの映像もクラウドに保存します。だからSDカードなののメモリーカードは不要。メモリーカードだと、走っているうちにすぐに満杯になって上書きが始まるので、欲しい映像が上書きされて消えてしまっていたり、なにかとトラブルが発生しがちですが、クラウドなら確実に保存できます。事故や車上荒らしなどの時はもちろん、風景を残したいときには「NP1、録画して」「NP1、写真撮って」の音声コマンドでOK。いちいち走行中にボタンを押さなくても写真や動画が撮れます。

また、これ使えるかも? と思ったのが、ドラレコの映像を外部のスマホに送って、相手と共有できるドライブコールという機能。ほとんどタイムラグがなく共有できるので、たとえば初めて行く待ち合わせの場所に向かう時、近くまでいったら周辺に詳しい人にドライブコールすれば、その人が助手席に座っているような感覚で道案内をしてくれます。またコロナ禍でなかなか出かけづらい今は、バーチャルでドライブ体験を共有してもらうことも可能。いろいろと可能性を秘めた機能だと思います。

このように、ナビとドラレコの枠を超えた可能性を持ったNP1ですが、今のところできることはこれだけ。4月か5月にはアレクサに対応するということでしたが、試乗時はまだ使えませんでした。が、アレクサへの対応を含めて、バージョンアップはOTA(オーバー・ジ・エアー)で行うのが強み。つまりWi-Fiの電波を使ってバージョンアップを行うので、メディアを差し込んだりといった手間はかかりません。今後は月に1度の頻度でバージョンアップを繰り返していく予定とのことなので、一度買ったら、ずっと最新の状態で使えます。

ただオーディオ好きには使いづらいかもしれません。というのも装着を簡単にするために、車速の配線がないしオーディオとの連動もしないから。だから案内音声が流れるときに、オーディオの音が自動的に小さくなったり消音したりということはできません。まあ、音楽好きならカーナビの音声案内は消して、画面だけで道案内を受けるという使い方をしている人も多いでしょうから「音声だけで道案内する」というNP1の本来の趣旨とは違いますが、スマホの画面に矢印や交差点拡大図などの画面表示をさせることは可能。こうすればスマホの画面の案内を見ながら案内を受けることはできます。

NP1の本来の目的は、最近増えている非DINサイズのクルマへの対応。従来の2DINサイズのカーナビを付けるには相当の加工が必要だし、純正オーディオを外すとトラブルが発生するクルマも増えているため、市販の2DINナビの需要は、どんどん減ってきているんです。それを打破するために考えられたのがNP1というわけ。これならオーディオとは別系統で簡単に装着できるので、オーディオはガッツリ組んで、それとは別に道案内とクルマの見守りはNP1に任せるという共存ができます。

気になるのは料金ですが、1年ごとに追加料金がかかります。最初は65,780円の本体に1年分の通信+サービス利用料が含まれているので、これにdocomo in Car Connectのチャージ料(365日プラン13,200円、30日プラン1,650円、1日プラン550円)をプラスすればいいんですが、2年目以降は通信+サービスの香辛料(更新1年版15,840円、更新3年版40,788円)とdocomo in Car Connectのチャージ料がかかります。つまり両方とも1年プランにするとしたら、毎年29,040円がかかるということですね。これを高いと思うか、これくらいなら払ってやるわという財力があるかで、NP1の評価は変わってくると思います。

僕は「ちょっと高いよなー」と思いつつ、使ってみたい派。OTAによってどのように進化していくのかも楽しみです。ただ、気になることがひとつ。僕は今、父親の介護のため秋田の実家にいるんですが、秋田だとみんな方言がきついんですよね。しかも、標準語で喋る気配は全くなし(笑)。普通に標準語で話しかけても、平気で秋田弁で返してきます。そんな人々の話にも対応して応えてくれるのか。ここは、ものすごく興味があるところではあります。ちなみに福岡や大阪では特別にNP1の宣伝をしているみたいなので、福岡弁や関西弁はきっちり対応するようです。

■今ウクライナではロシアが軍事行動を起こし、場合によっては核戦争にまで発展する恐れがなきにしもあらずなので「それどころじゃない」と心配している人も多いと思います。が、心を落ち着かせるには音楽が有効な手段のひとつ。ここは、このコラムでも読んで心を落ち着かせてください。

さて、今回は前回に引き続いてマイカーのスバルR2のオーディオの話です。このシステム、簡単に付けたのですが音はとっても気に入っています。その理由のひとつに、音が頭の中にたまらないというのがあります。

音像の定位の仕方は頭内定位と頭外定位のふたつに分かれます。頭内定位は脳内定位と言ったりもしますね。頭内定位はイヤホンやヘッドホンで聴いた時に感じやすい定位感で、音が頭の中にたまって聴こえてしまうんですね。僕は、この頭内定位の音が大の苦手で気持ち悪くなってしまうので、必要がある時以外はヘッドホンで音楽を聴くことはありません。

対して頭外定位は、普段ホームオーディオで聴いているように目の前の空間に音像が定位するような状態です。ライブなんかもそうですね。特に野外ライブだと、奥の壁から反射して跳ね返ってくる音がないので、自然に頭外定位で音楽が楽しめます。僕が野外ライブ大好きなのも、この原稿を書いていて理解しました(笑)

ところがカーオーディオの場合、意外に頭外定位のものが少ないんですよね。特に低音。高音から中音域にかけてはフロントウインドウのあたりに音像が定位していても、低音だけはなんか頭の中にたまってしまって、なんか気持ち悪さが残ってしまうクルマが多いんです。

おそらくこれは、サブウーファーの多くがドライバー(リスナー)の後方のラゲッジルームなどに設置されているというカーオーディオ特有の事情に起因するものでしょう。低音は指向性が弱いので調整によっては前にあるように聴こえるとも言いますが、やはり後ろに設置しているものは後ろで鳴っているんです。それを前で鳴っているようにタイムアライメントをかけて調整するために、完全に位相を合わせきれなくて頭の中にたまったような音になってしまうんでしょう。はっきりとした理由はわかりませんが、僕はこのように推察しています。

僕も、これまでのクルマで、この状況をどうにか解決できないかとさんざん調整してみましたが、完全に解消というところまで至ったことはありませんでした。どんなに頑張っても頭のなかに低音がたまってしまうような気持ち悪さが残ってしまうんです。

それが、今回のR2では完全に解消しています。定位は完全に頭の外。気持ち良いほどの頭外定位です。それはサブウーファーにTS-WX010Aを使ったことが大きく影響していると思います。CSTドライバーだけだと低音が足りないだろうけど、あまり大袈裟なサブウーファーを積むのもイヤだなと思って何の気なしに選んだサブウーファーですが、思わぬ効果があったものです。

特にベースの音が前方の中央でどっしりと鳴っているのには感激。CSTドライバーは位相特性の良さが気に入って選んだのですが、その良さを引き立ててくれます。もちろん、もっと分解能が高ければなぁとか、もっとローエンドが出ればなぁと思う時もありますが、1万5000円そこそこの価格でこれだけの音が手に入るのなら文句は言えません。この良さは、もっともっと広めていきたいと思っています。

ちなみにコルトレーンが作り出す音も頭外定位のクルマが多かったなぁと思い出しました。それは、コルトレーンではあまりサブウーファーを使わず、フロント2ウェイのケースも多いことが関係していると思います。スピーカー構成はシンプルなほうが調整しやすいし音の仕上がりも良くなりやすいということがわかっているんだと思います。

気に入っているついでに、もう少し音を整えようと思い車内音響特性を測ってみました。使ったのはetani RTAというiPhone用のアプリ。すでに提供が終わっているアプリですが、簡単に音響特性を見るには重宝するアプリなので、OSのバージョンアップによって使えなくなるまでは持っておくつもりです。

その測定結果ですが、やはり160Hzや200Hzのあたりの音圧が落ちていて、125Hzから下がいきなり上がっています。TS-WX010Aの内蔵ローパスフィルターを切ることができず、もっとも高い数値に設定しても125Hzでローパスがかかってしまうため、それより少し高いあたりが薄くなってしまうんでしょう。これを均すためにサブウーファーのレベルを全体的に下げることも考えましたが、走行中はロードノイズで低音が消されて物足りなくなってしまうため、サブウーファーのレベルは落とさず、160Hzあたりをイコライザーで2dBほどあげるという方法を取りました。

その結果、250Hzあたりに少し谷はあるものの、けっこうなだらかなカーブになりました。聴感上でも、気になっていた中域の薄さはかなり解消された印象です。逆に測定上では31.5HZあたりに大きなピークが出ています。これはおそらく、内装材のビビリによるものでしょう。音量を落とすと聴感上ではまったく感じられないので、とりあえずはこの調整でいこうと思います。

この音を皆さんに聴いてもらいたいと思い、イーストジャパンサウンドコンテストにエントリーしようと思ったのですが、なぜか断られてしまいました。おそらく、僕に下の順位が付いたら申し訳ないと思ったんでしょう。僕としては順位なんて全然気にしていなくて、多くの人に聴いてもらいたいと思っているだけなんですけどね。

まあ、各地のイベント等にはこのクルマで出かけたいと思っているので、見かけたら声をかけてください。おそらくヘッドユニット&スピーカーを含めてシステム総額20万円もかかっていない音にきっと驚いてもらえると思います。

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