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コラム

第42回「サウンドミートin東北」

極!石田塾

2022.10.16

※この記事は2022年10月に石田様より受け取っていた記事です。
業務多忙につき、このタイミングでの掲載になってしまいましたこと、お詫びいたします。

10月2日にみやぎ蔵王の七ヶ宿スキー場でサウンドミートin東北というイベントがあり、ジャッジで出かけてきました。それまで週末に3回連続で台風が来ていて、9月末は静岡で断水等の被害が出ていたし、太平洋の南側には台風の卵ができていたのでハラハラしましたが、幸い日本に来る前に東側に進んでくれたので、好天に恵まれました。自称・晴れ男(笑)としてもホッとしています。

今回、僕のクリニックに参加してくれた人は15名ほど。今回から、他のカテゴリーにエントリーしていても、オプション(有料)でクリニックを受けられるコースも新設されたため、いつもよりも忙しい感じでした。と言っても、ただ聴いて点数を付けるだけのイベントよりは台数が少ないし、参加者とじっくり話をしてアドバイスしたりできるので、僕には向いてますね。

僕のクリニックに参加してくれた人は8割がた前回から引き続き出てくれた人で、前回からの進化の具合がよくわかります。みなさん、僕の言うことをよく理解してくださっているようで、前回から進化しているクルマばかり。クリニックだというのに、アドバイスするような点が見つからないほど、完成度の高いクルマもありました(笑)。これだけ音が良いクルマがたくさん出てくると、もうチマチマ点数を付けて競い合うようなコンテストの意味が無くなりますよね。だって、みんな音が良いんだから(笑)。

このコラムを毎回読んでいる人ならうすうす気付いていると思いますが(笑)僕がカーオーディオを聴く上で最も重視しているのは低音。というのも、カーオーディオとホームオーディオの最も大きな違いは低音だからです。

ホームオーディオの場合、スピーカーのサイズは好きなものを選べますが、カーオーディオには制約があります。フロントドアのスピーカーは16〜17センチが一般的。どんなに頑張っても20センチほどが限界です。そのため、ハイファイを狙ってより低音を出すためにサブウーファーが必要なわけですが、25センチとか30センチのサブウーファーを設置するには、必然的にラゲッジルームなど、リスナーの後方になってしまいます。

ところが音源は基本ステレオ。つまり左右2つのチャンネル分しか入っていないわけですから、低音を発するサブウーファーが後方にあるのは不自然なわけですね。これを解消するために、タイムアライメント等のデジタル技術を使って調整するわけですが、これがなかなか難しいんです。時間軸が合っていたとしても、そもそも位相が合っていないと、やはり不自然に感じてしまいます。これがカーオーディオの一番難しいところでしょう。

だから僕は、試聴の際の基準曲に、低音がわかりやすい曲を選ぶようにしています。例えば今回選んだHD Tracksのデモ音源は、とてもワイドレンジでアコースティックギターの奥に、ものすごく低い音が含まれています。この音をしっかり再生するには、当然ながら大きめのサブウーファーが必要で、僕のクルマだとそこまで低い周波数を再生できていないので普通に再生できるんですが、大きなサブウーファーを追加して低音をしっかり出しているクルマほど、調整ができていないとグダグダになってしまうという厄介な曲です。

今回も、僕のコースに初めて参加してくれた中に、こんな人がいました。アルパインの若手社員で、前回はビギナーコースに参加していて好成績を獲得していたんですが、低音をしっかりと出していたのは感心したもののタイミングがグダグダ(笑)。違和感ありありで、僕のコースでは残念ながら低い順位に止まってしまいました。ただし、低音がかなりしっかりと出ていたので、取り付けに関しては問題なし。調整をきっちり行えば、見違えるような音になることは確実でしょう。

僕のコースに何度も参加してくれている人は、さすがにその辺を言われるだろうなと予測しているのか、サブウーファーをきちんと合わせて調整しているクルマが多かったように感じます。低音が難しい曲としてもう1曲、レディオヘッドのトム・ヨークが作った新プロジェクト、ザ・スマイルの曲を選んだんですが、絶対に苦労するだろうなぁと思っていたバスタムの音が、わりと自然に鳴っていたクルマが多かったように感じます。ただ音のヌケの良さもポイントで、その辺に改善の余地があるクルマも多少ありました。

前から言っているように、僕はクルマの音に点数を付けるのが苦手です(笑)。製品の個体であれば、いくらでも細かく聴いて点数を付けることができますが、カーオーディオの場合は製品個体の性能そのものよりも、取り付けや調整で音が変わるからです。むしろ、そちらの要素のほうが、音に与える影響は大きいでしょうね。

また大きいのは、クルマにはそれぞれユーザーがいるということ。ユーザーにはそれぞれ音の好みがあり、それを他人が理解するのは不可能です。だから僕が判断するのは音の良し悪しというよりも、取り付けによって音を改善できる余地がないか、調整によってもっと音を良くすることはできないかということ。それを考えてユーザーに伝えて、改善できそうなら実行していくことで、より良い音になる手助けをしているわけです。クルマの音を聴いて、細かい点数をチマチマ付けて、はいあなたが0.2点高いとか言って順位を決めてもしょうがないですからね(笑)

ユーザーのクルマの音を聴く限り、大体は気持ち良く音楽が楽しめるか、改善の余地ありかで決まります。前回までは改善の余地ありというクルマが多く、アドバイスする点も多岐にわたっていたのですが、今回は気持ちよく音楽が楽しめるクルマが多く、ちょっとびっくりしています。長い間、クリニックコースを担当してきて、色々とアドバイスしてきた甲斐があったと、嬉しくなってきます。

こうなると、クリニックコースでアドバイスする点も少なくなってきているので、こちらとしては困るんですが(笑)やり方を変える手はあるでしょうね。簡単なのは、同じコースに参加するのは2回までと回数を制限するやり方。僕のコースにはとくにカーオーディオのグレードアップを始めて間もない人に参加してほしいし、最初にガツンと伝えておけば間違わずに正しい方向に進めると思うんです。2回までとしたのは、2回目できちんと進化しているか確認するためです。

他に、どうしても順位を付けたいんなら、チマチマと点数を付けて競うんではなく、1対1で対決するという方法がありそうです。これなら聴くほうも、どっちがより気持ち良いか瞬時で判断できるだろうし、参加者の好みの音を思いっきり出して参加できます。またアピール力も重要な要素になるので、きっと盛り上がると思いますよ。

実はそんなイベントを今、ひっそりと画策しています。正式な発表はもう少し後になると思いますが、来年の春ごろまでには行う予定。決定したらお知らせしますので、楽しみにしていてください。

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