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コラム

第43回「オートサウンドウェブ2022」

極!石田塾

2023.07.03

※この記事は2022年10月に石田様より受け取っていた記事です。
業務多忙につき、このタイミングでの掲載になってしまいましたこと、お詫びいたします。

今年もオートサウンドWebグランプリ2022が発表されました。今、秋田にいる僕も11月20日から24日の間に東京へ出かけてしっかりと試聴して選考してきました。結果はオートサウンドWebのサイトで公開されている(https://online.stereosound.co.jp/as)ので、そちらを見ていただくとして、今回は選考においての僕なりの感想をお伝えしたいと思います。

今年は、長引くコロナ禍やウクライナ-ロシア戦争の影響による半導体や液晶パネル不足、サプライチェーンの問題があって、昨年以上に新製品が少なかったんです。トータルで15機種程度でしょうか。寂しいですね。だから、一瞬「今年は選考自体を中止にしようかな」と考えたこともあったそうです。そうですよね。新製品があったとしても、カーナビなんかは昨年モデルとまったく同じで、地図だけ最新版に切り替えていたりというモデルもあったわけだし、15機種といっても実際にはさらに少なくなるわけですから。

ところが編集部でいちおう対象機を集めて音を聴いてみたところ、これならいけると判断したそうです。もっとも、このような年間グランプリはその年の動向を含めて判断するものなので、豊作だろうが不作だろうが継続することが重要。1年休むと、その次はまた新たに一からスタートしなくてはいけません。その際の労力を考えても、続けたほうがいいとは思っていたので、ほっとしています。

15機種ほどなので、試聴は1日で終わりました。それでも、以前に比べると1台に費やす時間は長く、じっくりと試聴することができました。まず最初に聴いたのが、ディスプレイオーディオやAVナビなどのヘッドユニット系から。価格順に聴いていったので、トップバッターはアルパインのDAF11Zからです。

これを聴いた時、最初は戸惑いました。もちろんいい意味で、低域の音圧がすごいんです。内蔵アンプで鳴らしているんだけど、この音圧と安定感。昨年とは試聴室が違っていて、隣のひとまわり小さい部屋を使用したんですが、昨年のビッグXと同じ内蔵アンプのはずなのに音の印象がこれだけ違うとは。これでまともな判断ができるのかが不安になったんです。

そのため、一番聴き慣れているサイバーナビに替えて試聴してみたところそれほど変化はありません。部屋が違うため、細かい部分はもちろん違いますが、全体のイメージは昨年と一緒です。アルパインはなぜそんなに違って聴こえたんだろうと考えた結果、低音は部屋の広さと空気の量の影響が大きいためと判断。その部分を補正して聴くと、昨年のビッグXを聴いて感動した音と変わりません。圧倒的な低音の音圧と安定感。外部アンプを繋ぐなんて考えなくていいと思えるくらいの音です。

そして今回、最も驚いたのがパナソニック・ストラーダの2022年モデルです。自宅のBDレコーダーなどとインターネットで接続して、BDレコーダー内の動画などをクルマの中で楽しめるレコーダーリンク機能を搭載しエンターテインメント性が大きく高まったんですが、なによりも音がよくなっているんです。どこを変えたのか確認してもらったところ、音に関する部分には変更なしということだったのに驚いたのですが、おそらく技術者も知らない部分で変更があったと思われます。ラインアウトが無いのでシステムアップ派にはおすすめしませんが、内蔵アンプでOKという人には十分の真面目な音作りに感心しました。なお、カロッツェリアとケンウッドも音は良かったんですが、地図データ以外は昨年と変わっていないということで今年の僕の採点は1点止まりとしました。

次に聴いたのはパワーアンプです。マイカーのスバルR2にパワーアンプを増設しようか考えているので、これはR2に装着するならどれにする? ということを考えて聴きました。ただ、新製品が3機種しかなかったんですよね。しかも1台は200万円超のモノラルアンプ。これは買えるはずがないので、最初から却下(笑)。もちろん、音は素晴らしいんですよ。でもデカい上にモノラルだから、今のシステムだと4台必要。置き場所もないし、金も無い(笑)。たぶん電力不足ですぐに止まっちゃいそうなので無理なんです。

で、モスコニの2台のアンプです。1台は以前あったPICOの進化版でATOMOというモデル。もう1台はAB級のグラデンプロというモデルです。両方とも4chアンプなので、1台あればR2のシステムアップに対応できます。価格の関係上、まずはATOMOを先に聴いたんですが、これを聴いたときには「これで十分かな?」と思いました。内蔵アンプよりもパワーがあるし、質感も良い。そしてなにより、コンパクトだから設置場所を選ばないから配線も短く工夫できます。配線による信号ロスは出音に大きく影響するので、これは重要です。

しかしもう1台のグラデンプロを聴いたら「やっっぱりこっちだよな〜」と思ってしまいました。音の躍動感が、比べ物にならないほどまったく違うんです。スピーカーがカロッツェリアのCRTユニットで、モニター的な正確性を重視しているため少し無機質なところがあるんですが、このアンプなら味を加えられるかな? という思いもあります。しかしATOMOに比べると大きいので、設置場所はシート下等になります。今、設置可能かどうかも含めて検討中です。

最後はスピーカーです。ブラムが2萌えるとESB、グラデンの計4モデルです。ESBが最近話題なので期待していたんですが、正直、期待を裏切りました。能率が低いのか、なんか音がはっきりしないんです。このような音が好みの人もいるでしょうから否定はしませんが、個人的には「これはないな」という音でした。それに比べるとグラデンのほうがまとも。ただし、調整は難しそうです。ウーファーとツィーターの能率が全然違うんです。マルチアンプ接続で最初はツィーターを3dBくらい落として聴いたんですが、ツィーターがうるさくて聴いていられません。最終的に-12dBに落として、ようやく聴けるようになりました。その時の音は、かなりまとも。Hi-Fiな音なので調整に自信のある人なら、使いこなせるでしょう。

その点、ブラムのスピーカーは突出して魅力的です。10cmのエントリー機とマグネシウム・ツィーターを採用した上級機を聴いたのですが、どちらも価格以上の満足度が得られます。とにかく、声が良いんです。肉声感があって、体温が伝わってくるような生々しい音。オーディオの楽しさって、これだよなというのが、音から伝わってきます。ブラムの代表、ギー氏はフォーカルにいた頃から何度も取材している仲だからと、贔屓目に見ているつもりはまったくありません(笑)。が、音は魅力的。最終的な音のチューニングをギー氏の耳で行って出しているからと想像でき、フォーカルに比べると小さなメーカーだからこそできる製品なのでしょう。

最後に、途中でDSPやDSPアンプも聴きましたが、今回は点を入れられませんでした。というのもDSPはもっと進化していいはずなのに進化が見られず、前製品のリプレイスに留まっていたこと。そして半導体を含む部品の高騰の影響で高くなってしまっていたのが原因です。価格の上昇はある意味しょうがないにしても、プレーヤーを内蔵するなり、ブルートゥースやWi-Fiを活用してもっと手軽に調整したりコンテンツを楽しんだりできたり、いろいろ方法はありそうです。という意味でも、やや停滞気味かな? との判断です。

今回は台数が少なかったんですが、それなりの良いモデルも見つかりました。来年はもっと台数が増えて、その中から選べることを期待したいのですが、すでにいくつかの魅力的な新製品が出るとの情報は入っていて、今年よりは台数が増えそうな予感がしています。あと、裏情報として伝えておくと、アルパインの音の部分を開発してきたK氏が今回で引退するとのこと。もしかしたら来年からはガラッと音が変わってしまう可能性もあるので、その点は注目です。今のモデルの内蔵アンプで聴く音は相当良いので、外部アンプをシステムアップするつもりはないという人なら、今年のモデルを手に入れておくといいと思います。

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