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コラム

第三十一回「オートサウンドWebグランプリのお話」

極!石田塾

2021.12.01

月1のペースで配信しようと思っていましたが、10月末にいわきでサウンドミート・イン東北のイベントがあり、先月お伝えした「実践指導 誰にでもできるカーオーディオ調整法」という芸文社から出るムック本の執筆があり、それが終わったと思ったらオートサウンドWebのグランプリ選出があり、怒涛のスケジュールで動いていたので疲れてしまい、更新が遅れてしまいました。すみません。おかげさまでムック本は11月29日に発売。オートサウンドWebグランプリは12月の頭には発表される予定なので、楽しみにお待ちください。

https://geibunsha.co.jp/other/30753.html

その今年のオートサウンドWebグランプリは試聴を2日間で行い、その2日後にはグランプリ決定の会議を行うという超スピードのスケジュールだったのですが、短期集中で試聴を行ったからこそわかったこともありました。それはAVナビの音が全体的にものすごく向上していたことです。

https://online.stereosound.co.jp/as

今回は機器入れ替えの効率を考えてスピーカー、DSP&パワーアンプ、AVナビの順で試聴しました。入れ替えに手間取るスピーカーは、体力が十分にある先に済ませ(笑)次にDSP&パワーアンプ、最後に交換が簡単なAVナビという順番です。

パワーアンプは2チャンネルで100万円超のモデルもエントリーしており、そのあとでAVナビを聴くのは評価が下がりそうだなぁと心配していました。もちろんAVアンプは内蔵アンプで聴くわけですから、その落差は大きいだろうなぁと思っていたわけです。

ところがAVナビに変えてみてもわりとがっかりせずに、普通に音楽が楽しめたんです。落差が大きいどころか、落差を感じさせない音をそれぞれのAVナビが奏でてくれました。これはかなりの衝撃です。

もちろん100万円超のパワーアンプが期待外れだったわけではありません。それはそれで、期待通りの素晴らしい音を出していました。金額を聞くと「その金額は出せないなぁ…」という感じですが、もしお金を湯水のように使えるような身分なら、間違いなく購入の候補に挙げていると思います。

で、話をAVナビに戻します。試聴時のリファレンス・スピーカーはカロッツェリアのTS-Z900PRS。昨年のオートサウンドWebグランプリでシルバー・アワードを獲得したこのスピーカーの性能の高さもあるんでしょうが、どのメーカーの機器を聴いてもすごくいいんです。

たとえばケンウッド。こちらは新型コロナウィルスとは関係なく、旭化成関連工場の火星の影響で、今年のモデルはAKMのD/Aコンバーターを使っていないようなんですが、それでも昨年モデルより大きくサウンドが向上した印象です。音の傾向には向き不向きが多少あって、ポップス系にはぴったりな印象。逆にバラード系とか弦楽器系とかクラシックあたりは苦手な感じではありますが、クラシックなんか聴かないという若い音楽ファンなら、これを選ぶ手は十分にありでしょう。

パナソニックのストラーダの音質向上にも驚きました。今回、もっとも驚かせてくれた機器のひとつです。ストラーダはコロナ禍による半導体不足にもかかわらず、フルモデルチェンジというチャレンジングな行動に出ました。そのおかげで、地図を含む画像はものすごく綺麗になっているし、操作レスポンスもケンウッド並みに速くなっています。

そして肝心の音ですが、昨年モデルとは大違い。断然、楽しく生き生きした音が楽しめます。別の機会にデモカーの音を聴いたんですが、純正スピーカーを繋いだ状態での「音の匠モード」の楽しいこと。このモードは試聴室でも聴いてみたところ「あれっ?」というくらいに変な音になってしまっていたので、おそらく純正スピーカーとの組み合わせを想定してチューニングしたのでしょう。カーオーディオ・フリークにとっては、調整面などで物足りなさはあるでしょうが、純正スピーカーのままで気持ちよく音楽を聴きたいという人ならパナソニックを選ぶのも良いかと思います。

カロッツェリアは相変わらずのクオリティの高さです。今回は地図を最新版に変えただけだったのでエントリーしていなかったダイヤトーンもおそらく同様に良い音を出していたと思います。いずれにしても、徹底的に調整して良い音を突き詰めたいとしたら、カロッツェリアかダイヤトーン、そしてアルパインあたりに落ち着くんだと思います。

今回、AVナビの音がこれほどまでに良くなったのはなぜかを考えてみると、アルパインが2年前に出したパワーICの存在が大きいのではないかと思われます。もちろんパワーICひとつで音が大きく変わるわけではないでしょうが、2年前にアルパインが独占的に使っていたパワーICが他のメーカーでも使えるようになり、それを使用した各社のAVナビの音質が格段に向上したとみるのが妥当かと思います。

そのアルパインは昨年からパワーICをデジタルに変えて今年はさらに進化しています。昨年モデルもその性能は素晴らしく、ホーム用スピーカーを軽々と駆動する制動力を持っていたのですが、解析したところ低音で○分の1オクターブ階調がずれているところが見つかったとのことで、それをチューニングし直したんだそうです。

昨年モデルを試聴してもまったく気づかなかった点まで解析してチューニングするという点もマニアックですが、わずか○分の1のチューニングのズレを直しただけで、これほど音に芯が通って音がクリアになるのか! と驚くほどの変わりようです。とにかく音に曖昧な部分がありません。これほど芯がビシッと通ってクリアな音は久しぶりに聴いた感じです。これも、外部アンプを繋いだりしてグレードアップすると、かえって音が悪くなる可能性もあるので、この内蔵アンプで聴くことを前提としたモデルと言えるでしょう。

ちなみに、アルパインのモデルは開発メーカーの特権で7型機以外の生産予定台数分の半導体は確保しているとのことでしたが、新型コロナウィルスの影響で半導体の生産は不透明で、各社とも予定通りに生産できるかあやふやな状況。パナソニックはフルチェンジしたストラーダの生産をどうにか確保したいと躍起になっていますが、不透明な状況ではあります。それはサイバーナビも同じで、ファーストロット分の半導体は確保しているものの、その後の生産は不透明とのこと。

したがって、運良く今年の新製品を見つけたら、すぐに購入に向けて手続きしてもいいような状況。パナソニックの昨年モデルなんかは、昨年あわてて手に入れたら今年のモデルがフルチェンジしてがっかりということになってしまいましたが、今年のモデルはおそらく2〜3年は大きく進化することはないと思われます。だから、運良く今年の製品が手に入るようなら、すぐに購入を考えても良いでしょう。

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