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コラム

第三十二回「オートサウンドWebグランプリのお話の続き」

極!石田塾

2021.12.28

12月始めにオートサウンドWebグランプリ2021(https://online.stereosound.co.jp/as/17500826)が発表されました。前回に引き続き、今回もオートサウンドWebグランプリの様子をお伝えしていきましょう。

今年のゴールド・アワードはアルパインのビッグXが獲得しました。オートサウンドWebグランプリは、それぞれの審査員が30点の持ち点を持ち、それをそれぞれに最大3点から0点まで割り振って、その合計点で決定するのですが、アルパイン・ビッグXは全員が最高点の3点を投票。昨年モデルもゴールド・アワードだったものの、確か僕を含めて数人は2点だったはずだし満点ではなかったのですが、今年は文句なしの満点での獲得です。

その理由は内蔵アンプの素晴らしさでしょう。昨年モデルも、ホーム用のB&Wスピーカーを軽々とドライブする制動力の高さを見せましたが、今年のモデルは格段にサウンドが向上していました。というのも、昨年のグランプリ終了後に解析を進め、低音の音程が数分の1オクターブずれている部分を発見したんだそうです。それを修正したのが今年のモデル。ピアノの調律のように、音程がすべて正確に整った音は、ビシッと芯が通った音に生まれ変わり、昨年モデルとは段違いの良さです。その衝撃が、満点という結果につながったのでしょう。純粋な音の良さでいえばこれは本物です。

今年はコロナ禍の影響による半導体不足があるので、僕の場合は安定供給が可能かも重視しました。というのも、昨年のグランプリに選出されたものの、生産が間に合わず欲しくても入手できない状態が続いたモデルがあったからです。そこで実際に、各社に半導体不足の影響はあるかどうかを訊いてみたところ、自信満々に「大丈夫」と答えたのはアルパインだけでした。他のメーカーは「ファーストロット分は確保しています」とか「大丈夫(だとは思うんですが…)」といった、やや不安の残る答えでした。このへんは開発メーカーの強みといえるでしょう。ただしアルパインにしても「7型以外は」という注釈付きですが。

さて、文句なしのゴールド・アワードに輝いたアルパインですが、僕がもし個人的に購入するとしたら、アルパインではなくシルバー・アワードのサイバーナビを選ぶと思います。というのはネットワークスティックを使った新しい車内エンターテインメントの可能性があるからです。1年プランで年間13,200円(税込)と通信料は発生しますが、データ量無制限でネットにつなぎ放題。Amazon Fire TVスティックをHDMIに差し込めばネトフリもアマプラもクルマの中で楽しめるし、家のNASに貯めたハイレゾ音源もクルマの中で楽しめます。もうクルマの中に音源を持ち込むことは不要という新しいエンターテインメントが楽しめるので、これを体感したいのです。理想をいえば、サイバーナビがアルパインのデジタルアンプを積むことなんですけどね(笑)

今年のオートサウンドWebグランプリで僕が最高点の3点を入れたのはアルパイン・ビッグXの他に2機種あります。パワーアンプとスピーカーがそれぞれ1機種ずつです。パワーアンプはマイクロプレシジョンの7シリーズ・モノアンプ、そしてスピーカーはダイヤトーンのDS-G400です。これは単純に今回試聴したモデルの中からパワーアンプはどれが欲しいか、スピーカーはどれが欲しいかを考えて、そのモデルに3点を入れたもの。パワーアンプは超高額なので買えませんが(笑)お金を湯水のように使えるなら欲しい! と思わせるものでした。

ところで、今回は11月に発売された「カーオーディオ・パーフェクトセオリーブック5 誰にでもできるカーオーディオ調整法」に付属するCDに収録した音源を2曲、試聴に使っています。レコーディング時にスタジオのシステムで何度も聴いているので音の違いがわかりやすいからです。付属CDでは当然ながら44.1kHz/16bitにダウンコンバートされていますが、レコーディングに関わった特権で、レコーディング時のハイレゾ音源を利用しています。

1曲はピアノ、アコギ、ボーカルのトリオのバラードなんですが、これがわりと難しくて普通に聴くとピアノの音にアコギが埋れて、曲間の短いフレーズが聴き取りにくいんですよね。このアコギが立体的に分離して聴き取れたのは、マイクロプレシジョンのアンプとダイヤトーンのスピーカー、アルパインのビッグX、そしてサイバーナビだけでした。マイクロプレシジョンのアンプは、とにかくリアル。スタジオのモニタースピーカーで聴いたときのような音が試聴室でも展開します。分解能も他のモデルに比べると圧倒的に高く、他のモデルを試聴したときよりも音数が増えたような気がします。そして驚いたのが音色の正確さ。もう1曲のツイン・キーボードのひとりはモーグというドイツ製のシンセサイザーを使っていて、スタジオでも「あのシンセ、良い音してるね」と評判だったんですが、そのリッチな雰囲気がしっかりと出ているのです。これが感じられたのはマイクロプレシジョンのアンプだけでした。

そしてダイヤトーンのDS-G400。このスピーカー、実はあまり期待していなかったんですよね。というのもダイヤトーンのスピーカーといえばSA1だったりSA3だったりSA1000だったりG500だったり、奇数で始まるモデルが中心。G20というスピーカーもあってなかなか良いのですが、サブウーファーを加えたくなったりとやや中途半端な感じは否めなかったんです。だから緊急事態宣言中で試聴する機会がなかなか無くても、まあいつか聴けばいいやと思っていたわけです。

で、今回初めて試聴する機会を得たわけですが、もっと早く聴いていればよかったと後悔したほどです。これは良い! もしかしたらG500よりも好みかもと思ったくらいです。とにかくレスポンスがすばらしいです。聞けば、振動板は最上級のDS-SA1000にしか採用されていなかったNCV-Rを採用しているとのこと。これをウーファーとツィーターの両方に採用しているので、低域から高域まで一体感のある音色が再生されます。ダイヤトーンといえば何も足さない、何も引かないを信条とする真水のような音を目指していますが、まさしくそのようなサウンド。レスポンスに優れ解像度の高い素直な音がします。

だから、音楽ジャンルによる得手不得手がありません。どんな音楽を聴いても、素直に音楽ソースの音をそのまま再現してくれます。僕は、ロックが中心ですがわりとさまざまなジャンルの音楽を聴くので、スピーカーはこの手のあらゆるジャンルに合うモデルが好きですね。DS-SA1000は高くて手が出ないという人でも、この価格なら手が出るでしょう。ツィーターはボロンではありませんが、ウーファーと同じ振動板を使っているG400のほうが音色に統一感があって僕は好きです。

今年のオートサウンドWebグランプリは、新型コロナウィルスの影響か、エントリー台数は少なかったものの、音が良いモデルが揃ったという印象。惜しくもグランプリから外れた製品も、たとえばブラムのアンプなんかはギー氏らしい音が感じられてギー氏を知る人なら思わずにこにこしてしまうし、マッチのDSPアンプなんかも相変わらずのクオリティでした。でも、思ったよりも価格が高いし、安定供給できるかも不安なので点数は低くなってしまったわけです。

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