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コラム

第三十八回「サウンドミート・イン東日本いわきステージレポート」

極!石田塾

2022.07.05

暖かくなって各地でカーオーディオのイベントが盛んに行われるようになった今日この頃。福島・いわきでは田植えも終わって一息ついた6月5日にサウンドミート・イン東日本いわきステージが行われました。昨年の秋にははるばるコルトレーンから片桐さんがやってきて、ビギナー・コースというやや反則気味(?)なクラスに出場。見事に1位をかっさらっていきましたが(笑)今年は春にも行われたのでレポートします。

前日までは雨の予報が出ていたので、僕の晴れ男伝説もそろそろお終いか? とハラハラしていましたが、当日は晴れ。朝8時過ぎの受付開始時刻から続々と出場車が集まってきます。このイベントが他と違うところは、音圧車やビジュアル・コースが一堂に集まること。音圧コースは、本会場とは防潮堤を隔てた海側の別会場で行われるんですが、震災後に作られた高い防潮堤のおかげで音質コースと音圧コースが同じ場所で行われるのは、それぞれの好みを尊重した素晴らしいことだと思います。もっとも僕は、最初に音圧車を見に行くと、ジャッジに影響が出かねないと思い、ジャッジが終わってから少しだけ覗きにいっただけですが(笑)。

昨年同様、僕はクリニック・コースを担当しています。他にクリニック・コースを担当しているのはオーディオ評論家の小林貢さんと井上千岳さん。各10台ほどのクルマの音を聴いて、参加者にアドバイスしていきます。よくあるコンテストだとあらかじめ課題曲があり、先生たちがそれを聴いて採点し、順位を競うのがメインになっていますが、僕の場合はあくまでもジャッジに使用する基準曲。だって、曲によっていちいち調整を変えるわけでは無いのに課題曲って変だと思いません? 調整がしっかり出来ているシステムは、何を聴いても点数が高くなるんです。だから、僕の場合は、試聴の際の基準にしますよ、という意味で基準曲と言っています。本来、音にはそれぞれの好みが反映されているはずだから、この曲を聴いてくれという楽曲を1曲でもユーザー側が持ってきてくれるのがいいんですが、課題曲を出して欲しいという要望が多いそうで、それは変だから基準曲を設定しているわけです。

今回の基準曲に選んだのは、前回か前々回のコラムにも書いた通り、昨年11月に出したカーオーディオセオリーブック5の付属CDに収録された2曲。細かい点は、その時に書いたので省きますが、5月にはハイレゾ配信もスタートしたので、それを使っています。なにしろ、スタジオのメインモニターでもスモールモニターでも、飽きるほどさんざん聴いた音なので、耳に染み込んでいてわかりやすいんです。声質やピアノ、ギターの音色は今でもはっきり覚えているし、ツインドラムやギター、ベース、キーボードの定位も頭に叩き込まれています。その音にいかに近いかで判断しています。

ポイントは、たしか以前にも言ったと思いますが、低音の鳴りかたです。というのも、カーオーディオの場合、低音を担当するサブウーファーがラゲッジルームなどリスナーの後方にあるケースが多いため、低音の位相が合いづらいんですね。リスナーの前方にあるフロントスピーカーで、いかに定位をきちんと作り出したとしても、ラゲッジルームにあるサブウーファーが合っていなければ音は台無し。どうしても違和感のある音になってしまうんです。低音だけが、頭の中に溜まってしまって、なんだか気持ち悪い音になってしまうんですよね。

スタジオのモニターで聴く音は、完全に頭外定位の音です。スピーカーで音楽を聴く以上、目指したいのは頭外定位で、ヘッドホンやイヤホンのような頭中定位の音ではありません。今回、僕のクリニック・コースに参加してくれた人には、連続して何度も申し込んでくれている人も数人いたんですが、毎回、低音の鳴らしかたを口酸っぱく言っているせいか(笑)年々進化して音が良くなっているクルマが多数ありました。クリニック・コースを続けてきて良かったと思う点です。

今回、僕のコースで最高点を獲得したのは、古いゴルフIIに乗る中村さん。古いクルマなのでエンジンをかけずに聴いてくれなど、他のクルマとは違う条件での試聴でしたが、位相が揃った気持ちのいい音でした。クルマがクルマだけにオリジナルを大切にした取付けを行っていて、スピーカーは純正位置のものを交換しただけだし、高価な製品をこれ見よがしに取り付けているわけでは無いんですが。調整次第でこれだけ心地よい音にまとまるという好例です。このような音楽好きがもっと増えるといいですね。

ジャッジを行なっていたため、すべてのクルマを聴いたわけでは無いんですが、何台か聴いたクルマの中で「これは!」と思ったクルマも紹介します。まずシステム総額150万円以上の人が参加できるウルトラハイエンド・コースにエントリーした木幡さんのエクストレイル。イートンのCOREという最上級スピーカーを搭載した、いかにもお金がかかっていそうなクルマですが、実に音がまとまっています。ラゲッジルームにサブウーファーがあるものの、低音が後ろで鳴っているような違和感は全く無し。参加者投票には組織票もあるため、あらかじめ選抜された上位5台を再審査して正式な順位を決めるのですが、参加者投票ではかろうじて5位にひっかかった木幡さんのクルマだけが低音に違和感がなくダントツの仕上がりでした。

DIYコース2位の高田さんのフォレスターも素晴らしい音。彼はハイエンド・コースにもエントリーしていて、こちらは組織票により残念ながら再審査には引っ掛からなかったんですが、片桐さんが主宰しているmixi(懐かしいw)のコミュニティの副管理人をしているだけあって、低音の位相をぴたりと合わせた素晴らしい音でした。今回を最後にクルマを乗り換えるので、フォレスターのオーディオいじりはこれが最後とのことですが、新しいクルマでもきっと素晴らしいサウンドを聴かせてくれることでしょう。期待しています。そしてDIYコース1位の浜田さんのステップワゴン。タイムアライメントなどのデジタル調整は使っていないので僕が採点するとステレオ感という意味では得点が伸びない可能性はありますが、音色が素晴らしい! 同クラスに参加した人も納得の音だったと思います。

他に子どもがぐずっちゃったんで残念ながら試聴時に現場にはいなかった鈴木さんのロードスターや、特殊な純正スピーカー位置をうまく活かした松岡さんのマツダ3など、音の良いクルマでたくさん音楽を聴くことができました。やはり、音が良いとドライブはより楽しくなりますね。実は僕のクルマも名前を変えてビギナー・コースにエントリーしていて、残念ながら上位には引っ掛からなかったんですが、試聴した人は定位の良さと完全な頭外定位に驚いていたので満足しています。システム総額20万円にも満たない簡単なシステムですが、実際に乗っている本人が満足していればいいんです。

コロナ禍前は、春と秋の2回行われていたサウンドミートも自粛により年1回に縮小していましたが、今年は秋にも行われる予定(たぶん仙台)。ガチなコンテストとは違ってゆるい雰囲気だし、いろんなクルマの音を聴くことができるので、興味のある人はエントリー、もしくはギャラリー参加してみてはいかがでしょうか。

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