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コラム

第十八回「サウンドミートin東日本レポート」

極!石田塾

2020.10.10

新型コロナウイルスの影響で、各地のカーオーディオ・イベントが中止を余儀なくされている中、10月4日、福島県いわき市の四倉海水浴場の駐車場でサウンドミート・イン東日本いわきステージが行われました。僕にとっても今年初めてのカーオーディオ・イベント。今回はその様子をお伝えします。

このイベントも、元々は6月に開催を予定していたのですが新型コロナのため延期されたもの。みんなで集まれる機会が奪われ悶々としていた人が多かったためか、10月4日のイベントには遠くからも多くの参加者が集まりました。とくに多かったのがビジュアル系と名付けたドレスアップ系と音圧系。本会場から歩いて2〜3分ほどの別会場で行っていたので詳しくはわかりませんが、ものすごく盛り上がっていたようです。また本会場と音圧会場の間は東日本大震災後に造られた大堤防で仕切られていたため、本会場への影響はほとんどなし。道路から海が見えなくなったなど、反対意見も多かった大堤防ですが、少なくとも今回のイベントに関しては良かったと思います。

僕が担当したのはクリニック・コースです。実は、このところ点数や順位ばかり気にするコンテスト系のイベントには辟易していたのですが、クリニックならば点数をつける以外にユーザーと話ができます。現状を説明し、その上でよりサウンドを向上するにはどうすれば良いかを一緒に考えられるので引き受けたわけです。

だいたい、それぞれの音に順位をつけるのはどうなのか? と思っています。というのは、音楽や音はそれぞれの個人の趣味のもので好みは人それぞれだから、点数を付けるなんてそもそもナンセンスだと思うわけです。それでも帯域バランスとかS/Nの良し悪しなど、客観的にわかる基準で採点しているわけですが、とにかくS/N重視のクリーンな音が好みの人もいればS/Nを多少犠牲にしてもいいので元気な音が好きという人もいます。つまり、その人の好みの音なのかは、点数では図れないのです。

しかも、最近はお店の技術が上がっているので、どのクルマを聴いても良い音がしています。以前のように「これはちょっと…」というクルマがほぼ皆無なので、最終的には採点者の好みに左右されるんですね。少なくとも僕が採点するとそうなります。なのである意味採点は二の次にして、今後さらに音をよくしていくにはどうするかを一緒に考えることに重きをおいてクリニックしています。

長年、そう言うことを言ってきたおかげか、今年のサウンドミートでは点数や順位を気にする人が少ないように感じました。もしかしたら新型コロナウイルスのせいで仲間と会える機会が減っていることも関係しているかもしれません。イベントに行って賞を取るよりも、同じ趣味を持つ仲間と会って他人のクルマの音を聴くこと自体に喜びを感じているのでしょう。

まさにカーオーディオ・イベントの原点に戻った感じがして、良かったなぁと思っています。ホームオーディオでは自分のシステムをどこかに持っていって他人に聴かせるなんてことは不可能で、気軽に集まりお互いのクルマのシステムの音を聴き合えるカーオーディオの魅力は、この機動力の高さにあると思います。この利点を活用するのにカーオーディオ・イベントは貴重です。

今年は新型コロナウイルスの影響か、メーカー・デモカーの参加は少なかったのですが、ステッグのアンプを扱っているビーブレイドやエタニ製品を扱っているイヤマオートなど、いくつかがデモカーを展示していました。このような、普段は滅多に聴けない製品を積んだデモカーを聴けるのもイベントの楽しさです。

僕のクリニックに参加してくれた人たちですが、全部で12人の予定のところ、ひとり発熱者が出て11人。ダイヤトーン・サウンド・ナビの内蔵アンプでフォーカルのスピーカーを鳴らすというシンプルなシステムの人から、エタニのプロセッサーを積んだ人までバラエティに富んでいます。中に1台だけ、ステレオ感がまったく感じられず「逆接を含めて配線をもう一度見直したほうがいい」と言ったクルマがありましたが、他は全部良い(笑)。もちろんシステム総額によってクオリティの違いはありましたが、よくできたクルマばかりです。

これはかつてパイオニアが行っていたカーオーディオ・コンテストの影響が大きいのでしょう。当初はショップが取り付けや調整の技術を競うコンテストとして行われていたイベントが、ショップの技術向上に大いに貢献したと思います。年を重ねるにつれて、このクルマの音はまずいんじゃないか? というクルマがどんどん減っていきました。後年はユーザー参加が可能になり、ユーザー同士が順位を競うようになって、それなりに問題も出てきたんですが。

それはさておき、僕は基本的に世の中に出回っている製品に悪いものは無いと思っています。販売前にきちんとテストして販売にこぎつけたものであれば、商品開発にかけるレベルの差はあれど、粗悪品が出てくるはずはないと思います。まあ、海外モノで人気品だからとにかく早く出そうとしたものならともかく、名のあるメーカーの製品なら大丈夫と思っています。

その中から自分の好みの音がする製品を選びいろいろ組み合わせて最終的な音を仕上げていくのが、オーディオおよびカーオーディオの楽しみのひとつ。それを叶えるためには、やはりいろんな製品やシステムの音を聴いてみるのが大事で、その意味でもカーオーディオ・イベントは重要な役割を持っていると思います。

他人のクルマの音を聴いてその音を目指すのもいいし、他人に聴いてもらって感想を聴き、自分ひとりで調整していた時には気づかなかった点に気づいて修正するというメリットもあります。点数や順位だけを気にするのではなく、同じ趣味を持つ仲間と交流することでさまざまな利点があります。そこがカーオーディオ・イベントの楽しさであり、大きな役割だと思っています。

今回は新型コロナウイルスの影響で、他人のクルマに乗るのにも気をつかう状況でしたが、早くコロナ禍がおさまりみんなが集まって自由にお互いのクルマの音を聴きあってあれこれ言い合える時が来ることを願っています。

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