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コラム

第九回 「2020年の話題になりそうな新製品」

極!石田塾

2020.01.20

1月も半ばを過ぎて、新製品の情報もぼちぼち入ってくるようになりました。今回は2020年の話題になりそうな新製品を見ていこうと思います。

まずは東京オートサロン2020の直前に発表されたアルパインのカーナビ、ビッグX。車種専用設計で周囲のパネルごと交換して大画面をはめ込むあたりは、これまでのビッグXと同じですが、中身はフルモデルチェンジ。ようやくハイレゾに対応しました。

細かいスペックはオートサロン会場で聞いてもはっきりしませんでしたが、最大192kHz/32bitのハイレゾ音源まではデコード可能。最大96kHz/24bitのサンプリング周波数/量子化ビット数で再生できます。相変わらずパラメトリック・イコライザーを採用していますが、調整範囲は40kHzまで拡大。バンド数も13バンドに増えています。しかも4chでそれぞれ独立調整が可能になるなど、機能面も充実しました。

CD時代も音の良さには定評があったビッグXなので、新ビッグXにも期待して良いと思います。旧ビッグXは内蔵アンプで聴いた時の音が良かったので、おそらく新モデルも同様のコンセプトで作られているはず。外部アンプを足したりとあれこれシステムアップするのではなく、カーナビとスピーカーを替えて完結というライトなシステムアップを望む人には良いでしょうね。

会場にはアルファード(?)のコンセプトカーも展示していて、これにはハイレゾ対応のデジタルプロセッサーを搭載していました。こちらは中国市場にすでに投入済みとのことですが、日本での販売は未定とのこと。やはり市場規模が影響しているのでしょう。ある程度の数が売れる確約があれば日本市場でも販売が開始されると思うので、もっと「欲しい!」という声を上げてアルパインに届くようにしていきましょう。

一方、アメリカ・ラスベガルで行われていたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)でも、さまざまな新製品が発表されました。その中で注目したいのが、キッカーのHS10です。キッカーでは2011年にHS8という20cmユニットを搭載したスリムなパワード・サブウーファーを発表して、その年のイノベーションを獲得しましたがHS10はその兄貴分。使用ユニットも25cmに大きくなっています。それでいて、ボディ全体のサイズ拡大はわずか。奥行きはむしろ短くなっているくらいです。

HS8はこのタイプのパワード・サブウーファーとしてはダントツの出来の良さで、小さいからこんなもんだろうとか、薄いんだからこれで許して的な製品が多い中、唯一、自分でも「これなら使えるかな?」と思えるものでした。それが、口径を25cmに拡大したのだから、より低域の再生能力が拡大するのは確実です。

たしかに、この高さでシート下に入れられるクルマは少ないだろうし、7万8000円ならもっと本格的なパワード・サブウーファーを手に入れられるだろうという意見があるのもごもっとも。ただし、このサイズでこのコンパクトさで本格的な低音を鳴らせるパワード・サブウーファーはなかなかありません。低音は増強したいけど、サブウーファーのために場所を取るのはイヤという人には、気になるアイテムかと思います。

もうひとつ、ハイエンド・カーオーディオ・ファンには気になるデジタルプロセッサーです。昨年、ブラックスの最上級デジタルプロセッサー、ブラックスDSPを出して勢いに乗るオーディオテック・フィッシャー社が、兄弟ブランドのヘリックスからヘリックスDSP ULTRA(230,000円/税別)を発売しました。

このモデルは、ヘリックスDSP PRO IIの上位機種として開発されたもの。DSP PRO IIでは1基だったアナログデバイセズ社の64bitプロセッサーをDSP ULTRAでは2基搭載し、295MHzのクロックで動作しているので、圧倒的な高速処理と高音質を実現しています。また32bit子プロセッサーも採用。A/DコンバーターとD/AコンバーターはAKM(旭化成)のプレミアム・タイプを使用しています。このあたりは、DSP PRO IIと同じですね。

また入出力のアナログ回路には、TI(テキサス・インストルメンツ)社のOP1678というオペアンプを採用。これは高音質で評価の高いデバイスで、スペックを見てもSN比117dB以上、高調波歪率0.0004以下、周波数特性10Hz〜44kHzとDSP PRO IIよりも向上しています。さすがにSN比や周波数特性はブラックスDSPにはかないませんが、高調波歪率はブラックスDSPと同等です。

入力はハイレベル(スピーカー出力)、RCA入力ともに8チャンネル。同軸デジタル/光デジタル入力も装備しています。だから純正システムをベースにしたシステムアップも可能。アナログ入力の8チャンネルは自由にミックスできるので、純正マルチシステムの音をフルレンジに近い信号へと合成することもできます。独自のVCP機能により、入力信号を合成した時のサウンドエフェクト機能の使用性も向上しているとのことです。

内部処理の動作サンプルレートが96kHz/32bitだから、96kHz/32bitの音楽データなら圧縮せずに再生可能。まあ受け側が同軸デジタル入力の場合192kHz/24bit、光デジタル入力の場合は96kHz/24bitが最大ですが、別売のエクステンション・カードを追加することで、最大192kHz/32bitのハイレゾ音源を入力することができます。まあ32bit音源はそれほど多くはないので、24bitあればたいがいは大丈夫でしょう。

サイズは幅177×奥行170×高さ40mm。DSP PRO IIと比べて奥行きが2cm大きくなっただけのコンパクトなサイズです。プレーヤーを内蔵していないのは少し残念ですが、市販カーナビの装着が難しいクルマでオーディオのシステムアップを望むなら、このようなデジタルプロセッサーは必須のアイテム。パフォーマンスの高さを考えると、ブラックスDSPにはさすがに高くて手が出せないというハイエンド・カーオーディオ派には、これしかないというアイテムと言えるんじゃないでしょうか。

年が明けたばかりなのに、魅力的な商品がどんどん出てくる2020年。今年もカーオーディオが好きな音楽ファンにとって、魅力的な1年になることを期待しています。

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