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コラム

第十回 「試聴等によく使う音源の紹介」

極!石田塾

2020.02.10

今回は僕が試聴等によく使う大好きな曲などの音源を紹介していこうと思います。とはいえ、僕の音楽の趣味は偏っている(笑)ので、みなさんのお役に立つかどうかはわかりません。また、こちらから聴きどころを示すのもどうかなぁと思います。というのも、音楽の聴きかた、感じかたは人それぞれ。皆さんが自由に音楽を感じとって欲しいし、こちらで何かを示すことによって、自由に感じることへの妨げになる可能性があると思うからです。

といっても何かを書かないと読み物にならないので、あくまでも個人的な感想をつらつらと述べていこうと思います。あくまでも参考に。

まず、僕が聴くのは主にロックです。ロックといってもジャンルが様々ありますが、ジャンル分けがそもそも嫌いなので厳密に分けているわけではありません。僕が聴いて「ロックだ」と感じたらどんなジャンルの音楽であってもロックです(笑)。そういう意味では、上原ひろみもロックだと思います。

上原ひろみは昨年、ピアノ・ソロ作の「Spectrum」を出しましたが、僕はその前のハープ奏者エドマール・カスタネーダとのデュオ作品「ライヴ・イン・モントリオール」が大好きです。ハーブからこんな音が出るの? というのにも驚きですが、2人の演奏はまさにバトル。1対1だからこその化学反応が生まれ、スリリングな演奏が楽しめます。

とくにエドマール・カスタネーダのために書き下ろしたという「ジ・エレメンツ」からアンコールの「リベル・タンゴ」への流れは圧巻。息を飲む演奏から観客の息づかいまで伝わってきて、良いシステムで聴くほどゾクゾクします。2人しかいないのでごまかしがきかないのもいいですね。そのほかのサイモン・フィリップス、アンソニー・ジャクソンとのザ・トリオ・プロジェクトの作品も試聴にはよく使っていました。ピアノの細かい音までクリアに聞こえているか、ドラムスの音の立ち上がり、ベースの締まり具合とノリの良さが、ポイントになるかと思います。

ギター・デュオのロドリーゴ・イ・ガブリエーラも好きなアーティストです。昨年「メタヴォリューション」という最新アルバムを出しましたが、やはり2006年のリリースされた世界デビュー作「激情ギターラ!」が個人的には最も好きです。このアルバム、2017年には10周年記念盤が出たので、まだ手に入ると思います。

彼らは2008年のフジロックで見たのですが、アコースティックギター2本だけで、一番広いグリーンステージのファンを虜にするパワーを持っていました。リードギターのロドリーゴのテクニックも素晴らしいですが、ガブリエーラのリズムが素晴らしい。弦のカッティングやボディのタップで激しいリズムを刻みます。これ、立ち上がりが鋭い、キレの良いオーディオ・システムで聴くほどグッと引き込まれます。ツェッペリンの「天国への階段」もカバーしていますが、これはフィギュア・スケートで誰かが使用していましたね。詳しくはありませんが(笑)。

それ以外では「エリア52」というアルバムも試聴に使っていました。このアルバムはキューバのミュージシャンを迎えて、キューバで録音されたもので、ホーンセクションや、ピアノ、ドラムス、パーカッション、フルートなどが加わっています。だから2人だけの張り詰めた演奏とは違って、和気藹々とした楽しそうな雰囲気。楽器も増えたので、オーディオチェックにも使いやすいかと思います。

インストルメントが続いたので今度は唄入りの曲を。今年のグラミー賞は18歳のビリー・アイリッシュが5部門で賞を獲得しましたが、その6年前の2014年に17歳でグラミー賞4部門で受賞したロードです。彼女の「ピュア・ヒロイン」というアルバムは、試聴によく使っていました。

代表曲の「ロイヤルズ」はデジタルの重低音とやはりデジタルであろうハンドクラップ風の音、多重録音のコーラス、そして唄のシンプルな構成(途中シンセ音も加わるが)。その重低音をしっかり再生するためには、スピーカーの取り付け強度が問われます。強固に取り付けていないとすぐにビビってしまうし、それがいやで低域をカットしてしまうと、この曲の良さが出ない…。シンプルですが、なかなか厄介な曲です。音の立ち上がりのスピード感も重要です。

ロードは2017年には「メロドラマ」というアルバムも出ています。こちらは「ピュア・ヒロイン」ほどのインパクトはないものの、曲作りにバリエーションが増えたし、レコーディングにより予算をかけた感じが伝わってきます。こちらもおすすめです。

もう1枚女声ヴォーカルのものを。また上原ひろみで恐縮なんですが、矢野顕子とのコラボアルバム「ラーメンな女たち-LIVE IN TOKYO」も好きなアルバムです。2017年に出た時にはDVD付きの初回限定盤があったのですが、今(2月6日現在)Amazonで確認したら、まだあるみたいですね。e-onkyoで96kHz/24bitのハイレゾ音源も手に入ります。

2人の天才のライヴなのでライヴに出かけるのが一番なんですが、そういうわけにはいかない人も多いと思います。そんな時はアルバムを。2人のピアノの音色の違いを楽しむのもよし、矢野顕子の唄は好き嫌いがあると思いますが、艶のある独特の歌いかたがとても好きです。声の録音も良いですね。飛ばしていくよ〜ドリーマーあたりはグッときます。

女性が続いたので男性も。昨年、試聴によく使ったのは、スティングの「マイ・ソングス」というアルバムです。これ、ベスト・アルバムなんですがニュー・アルバムなんですよね。というのも、ヒット曲を新たにセルフ・カバーして取り直したから。ポリス時代からソロになった後まで、名曲がずらりと並んでいるので聴きなれた曲ばかりで安心感があります。

取り直したといっても、アレンジはほとんど変わっているわけではなく、原曲をベースに現代風に味付けしているくらいなので、新録音と思うとがっかりしてしまうでしょうが、音がよりはっきりと力強くなっています。以前からのスティング・ファンなら、両方聴き比べてみて、違いを探ってみるのもよいかと思います。例えば以前、よく試聴に使っていた「イングリッシュ・マン・イン・ニューヨーク」を聴き比べると、エネルギーバランスが変わって、より低域が力強くなっています。

また「フィールズ・オブ・ゴールド」のように、イントロにギターの音を加えてアレンジを変えた曲もあります。このように、細かい違いを探していくのも面白いかと思います。

もう1枚、男性のヴォーカルを。昨年、最もよく聴いたのがイアン・ブラウンの「リップルズ」かもしれません。歌が下手くそと言われようがなんと言われようが(笑)ストーンローゼズは大好きなバンドで、その中心人物がソロ・アルバムを出したとなれば、聴かないわけにはいきません。

今回はセルフ・プロデュース作で、演奏もほとんど一人で行うというミニマルな作品。しかも息子をゲストに迎えているというからアットホームというか安創りというか(笑)。ただし、録音はビートルズでもお馴染みのアビーロード・スタジオで行ったそうです。

このアルバム、演奏が上手いわけでもないし歌は…ですが(笑)、なんかほっとするんですよね。1980年代後半頃にマンチェスターで起こったマッドチェスターを感じるというか。みなさんにおすすめするわけではありませんが、80年代後半から90年代にかけてのイギリスの音楽が好きな人は聴いてみると良いかと思います。オーディオ的にはとくにチェックする部分はありませんが(笑)

もうひとつ、個人的な趣味のアルバムを。ロビン・ヒッチコックとアンディ・パートリッジの「PLANET ENGLAND」という4曲入りミニアルバムです。アンディ・パートリッジのApe Houseというレーベルから発売されたもので、昨年9月に発売された当時はここのWebショップで買うしかなく手に入りづらかったのですが、今はAmazonでも買えるます。

なにしろ僕が最も好きなミュージシャンの一人でもあるロビン・ヒッチコックと同じくXTCのアンディ・パートリッジのコラボレーションですから悪いはずがない。ビートルズっぽい曲もあり、ロビンが以前いたソフトボーイズっぽい曲もあり、ポップ・センス溢れる素晴らしい曲ばかりです。

このように、僕は普段から好きなミュージシャン、気に入った曲を中心に聴いています。録音が良いとか悪いとかは二の次。曲が好きじゃないと感情移入もできないし何度も繰り返して聴くことなどできないですから。とはいえ、録音が良い音源のほうがオーディオの良さはより引き立つし、良いオーディオで聴いた時の感動もより強まります。ここで紹介した音源なら、そのあたりはクリアしています。相対的に言えるのは、国内で録音したものはコンプを目一杯かけたものが多く、ダイナミックレンジが狭いものが多いということですかね。もちろん、国内盤でも録音に気を使った良質なものもありますが。

そして、調整を上手く行うためには気に入った曲を何度でも聴くことが重要。それも同じクルマの中だけで聴くのではなく違う環境で聴くことが大事です。できれば、家のオーディオを奮発して良い機材を入れて、その音を頭に叩き込むのが良いですね。そうしたら、クルマに乗った時、家のオーディオの音とどこがどう違うのか気付くはず。それを修正していけば、クルマの音も家の音に近づきます。

もし家には高級オーディオを導入できないなら、いろんなショップ(ホームでもカーでもよし)に出かけて良い音に触れる機会を増やすといいと思います。もちろんすべてのショップの音が良いわけではありませんが、何度もショップに通っているうちにショップの良し悪しとか音の傾向もわかってくると思うのでお店選びもしやすくなります。

そのためには、音楽をたくさん聴いて好きなミュージシャンや音楽をいっぱい見つけること。まずは音楽を好きになること。これが良い音のクルマを手に入れる近道かと思います。

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